cforms II が消えちゃった

殺人事件が起こると真っ先に疑われるのがその結果で利益を得られる人物、という話もあることだし、そうなると微妙な立場でないこともないからここは慎重に、だから誰も見てないこんなとこでこっそり書いてるわけですが、わかった事実を先にざっくり書きますと、WordPress の大人気コンタクトフォームプラグイン cforms II が公式プラグインディレクトリから突然登録抹消されました。cforms II を使っている WordPress ユーザーも多いと思うけど、WordPress 上でのアップデート通知や自動アップグレードは今後ないと思います。それから作者のブログによると今後のアップデートやサポートの継続も不透明の模様です。

cforms II に何が起きたのか。一通り話の流れを追ってみたんですがやっぱり理解不能です。それでもどうにかわかった範囲で書くとこんな感じ。1月24日の日付で WordPress ユーザー King Rat さんのブログに cforms II does not use a GPL compatible license (cforms II は GPL 互換のライセンス使ってない) という記事が公開された。内容としては King Rat さんが友人の WordPress サイトの立ち上げを手伝っているときに cforms II を使ってみたところ、どうも問題があることに気づいたと。

何かというとつまり、生成したフォームの下に cforms II 作者のサイトへのリンクが自動的に張られる仕組みになっていた。これに不満の Rat さんはプラグインのコードをいじって取り除こうとしたんだけど、いろいろややこしい仕掛けがしてあって容易に外せなくなっていた。なんじゃこりゃといろいろ調べているうちに、cforms II には GPL 互換のライセンスが明示されてないうえに、作者自身のサイトに cforms II は GPL 互換ではないらしいことが書かれてあるのを発見した。

解説すると、WordPress の公式プラグインディレクトリというのは何千というプラグインが集まっている場所で、WordPress ユーザーはだいたいそこで好みのプラグインを探してきます。現行のバージョンではそこからの自動インストールや自動アップグレードまでできるようになっているので、ユーザーにとっての利点は大きく、また多くのユーザーの目に触れるのでより多くの人に使って欲しいと願うプラグイン開発者にとってもそこに自作品を置くメリットは大なわけです。cforms II は長いことそこの上位をキープしていて、ユーザーがつけるレーティングの星の数ではダントツの一位というまさに大人気のプラグインでした。

公式プラグインディレクトリにはある厳格なルールがあって、そこに置くことのできるプラグインは GPL 互換のライセンスで公開されるものに限られる、というのがそれで、Rat 氏はまさにそこに問題を見たわけですが、cforms II が GPL 互換じゃないならルール違反じゃないかと。

で、King Rat さんのブログ公開から程なくして cforms II が公式プラグインディレクトリから消えてしまった、と。この間の経緯がよくわからないんですが、この記事に腹を立てた cforms II 作者が自分から登録を削除したようにも取れるし、King Rat さんが公式プラグインディレクトリの管理者にルール違反を通報した結果 cforms II が強制排除されたようなことも別のブログに書いてありました。よくわかりません。

とにかく大人気プラグインが突然姿を消す事態に cforms II ユーザーたちは大騒動です。事の発端となった Rat さんのブログのコメントには批判が殺到、炎上というか集団ヒステリーのような様相です。冷静に考えれば彼に何の罪もないのはわかるはずなのに。

(コメントを上から見ていくとけっこう面白くて、これでもか、とばかりに感情的な批判の表現が使われていて勉強になりました。もちろん実際には賛否両論あって、中には中身のある意見も見られます。そしてなんと Mike Little さんのような有名人の名前もあります。また、僕も以前 Red Alt でお世話になった Owen Winkler さんは、「おれが GPL で公開している Butonsnap ライブラリを中で使っておきながら cforms II は GPL じゃないとは何事か。ライセンス違反じゃないか」とお怒りのようです(続きの詳しい話が彼のブログに)。)

結局そんなこんなで、cforms II は GPL ライセンス付きで復帰するということもなく、このまま独自の路線を模索するか、放棄するかするようです。

僕は cforms II のことは意識して見ないようにしてたので(似てくると困るから)、実際にはどういうものかよく知らないんですけど、ユーザーから漏れ聞く評判によるとなかなかよくできたプラグインのようだったし、容易に抜けない周回前の前走者というか、ある種の目標でもあったので、突然消えられて拍子抜けしてしまいます。作者氏は cforms II の開発にこれまで 3,000 時間を費やしたと書いているんですが、サポートとか全部含めたらもっといってるのかもしれない。それに対して代償を求めたい気持ちはよくわかります。それにしたって公式プラグインディレクトリの GPL ルールははっきりしてるわけだし今回の件は明らかに失敗だったと思う。とはいうものの、それだけの苦労の結晶でユーザーからの多大な支持もあったものが、ひとつの大きな判断の誤りからフェードアウトする結果にいたるというのは、見ていて本当に痛ましく思います。

ところでこういった、「オープンソースプロジェクトにおける突然死」の現象は今回が初めてではなく、むしろよく見かける現象のようにも思えてならないのですが(妙に既視感をおぼえます)、どっかにいい考察ありませんかね。今後の参考にしたいので。

Update: cforms は GPL ライセンス付きで出直すことにしたみたいです。今のところ公式プラグインディレクトリには復帰できてないので配布元は作者さんのブログになってます。

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