TechCrunch Japanese: Judy’s Book閉鎖へ。Yelpが地域レビュー最後の生き残り
シアトルのスタートアップ、Judy’s BookのファウンダーでCEOのAndy Sacksからついさっき、サービスを閉鎖して12人の従業員のほとんどを解雇することを知らされた。この会社は、これまで2ラウンドの資金調達で、計$10.5M(1050万ドル)の出資を受けている。
Judy’s Bookは、当初コミュニティ主導型の地域ビジネスレビューサイトとして始まったが、2006年、当初モデル不調のため方針転換した。同サービスは地域のレビューを離れ、ショッピング情報や地域のお得情報へのシフトしていた。
会社の資産は売却され、Sackによると興味を持っている数社と交渉中とのこと。
ニュースとしては少し古い話になるんですが(10月23日)、Judy’s Book というローカルサービスを運営していた会社が規模縮小を決めました。サービス自体は売却されてどこか別の会社に引き継がれるのかもしれませんが、事業としては事実上の失敗に終わりました。
1年くらい前には Insider Pages の縮小があったわけで、この分野の難しさがますますあらわになってきています。
むずかしいむずかしいと嘆いていても仕方がないので Judy’s Book の失敗から学べることを探しましょう。たいへんありがたいことに、CEO の Andy Sacks が自身のブログに詳しく書いてくれています。いくつかの記事で書かれた失敗の分析と反省をピックアップしてみました。
以下、僕の勝手訳なのでところどころ意訳したりはしょったりしています。正しくは原文をあたってください。
A Sack of Seattle: Mistakes in the early years of Judy’s Book
犯した大きなミスが2つあり、その結果として特定地域(シアトル)におけるクリティカル・マスの獲得に失敗した。
1つ目のミスは、ソーシャルネットワークのユーザ獲得に十分積極的でなかったこと。ユーザ獲得にアドレスブックを利用するアイデアがあったのだが積極的にはやらなかった。というのも、当時はアドレスブックを利用するのはスパムみたいだと受け取られるんじゃないかという心配があったからだ。いま思えば堅すぎたかもしれない。ソーシャルネットワークを成長させ、かつユーザにスパムと思われない、その微妙なさじ加減が十分に理解できていなかった。
2つ目のミスは、2005年8月に当初のシアトルから全米にサービス地域を拡大したこと。当時、競合の Insider Pages が全米展開していて、プレッシャーでこちらも追随してしまった。シリーズ B ラウンドの資金調達のときに Benchmark の Bill Gurley に反対されたのをおぼえている。あの時は自分の判断を擁護したんだけれど、いま思うと2005年8月の時点での全米拡大はやはり失敗だった。それで結局、全米版ローカルサーチ・サイトの構築に6~9ヶ月の大半を費やすことになり、結果として前述したユーザ獲得の問題に集中できなくなったし、サービスを魅力的にできたであろう諸々の改善にまで手が回らなくなってしまった。
A Sack of Seattle: Another major lesson learned: baby steps come first
Judy’s Book については我々は壮大な構想をもっていた。今になって思うとスタートアップにとっては大きすぎだった。大きな構想を十分越えられる程度の小さなステップに砕いてやる必要があったのに、コンセプトの実証が終わらないうちにそのコンセプトを全米に拡大しようとするような無理を犯してしまった。
A Sack of Seattle: Judy’s Book lesson #1: markets win
オンライン・ローカルのサービスの成功には、特定地域と特定カテゴリーにおけるクリティカル・マスの獲得と、さらに地域顧客(広告主?)の獲得が必要になる。その両方を得るのはどんな企業にとっても難題だ。だからオンライン・ローカルのマーケットには常に危険が伴う。私は今だって素晴らしいマーケットだと思っているよ。でも本当に、オンライン・ローカルは難しい。とても難しいんだ。
以下、僕の感想。ローカルのサービスはその主な対象ユーザ層がまだオンライン上で十分に活発でないという難しさがあり、またそれ以上に、収益源として期待すべき地域の広告主がまだ全然オンラインで活発でない、という大難問があります。
おそらく Judy’s Book がシアトルで当初期待したほどにユーザと広告主を獲得できなかったことが全米拡大のプレッシャーにつながったのだろうと思います。
Andy Sacks は全米拡大は間違いだったと述懐していますが、対象地域を限定するべきかそれとも早く全国にひろげるべきか、そのどちらが正解なのかというのは実際にはまだ答えの出ていない問題だろうと思います。単に適切な方法がまだ試されていないだけかもしれませんし、時代が早すぎただけかもしれません。
ただいずれにしろ、前線にいた Andy Sacks が最終的にそれを失敗の原因のひとつとして考えたということは、非常に重みがあり、参考になります。
それにしても、優れた起業家が自身の失敗について分析した文章を、こうやって簡単に入手できるという、こんなことはほんの5年くらい前までは考えられないことだったわけで、そういう意味では今はつくづくいい時代なんだなと思います。
