承前。
それがたとえどんなズボラ者の末期でも、国民がのたれ死にするのを放置しておくのは国家の立場としてはあまり褒められたもんじゃないでしょう、というような思想が広まって、ビスマルクだかがいたころのヨーロッパで初めて誕生したのが社会保険制度である、というような話を昔何かの本で読んだことがあります。
発想の原点はいたってシンプルだったのに、そこに余計なものを付け加え続けて、とうとうにっちもさっちも行かなくなったのが現代日本の社会保険制度である、と言ったら言いすぎでしょうか。
複雑な制度を維持するためのコスト分だけで年金の何割か持って行かれてる気がするんだけど。
不平はさておき、今朝大急ぎで書類をまとめて11時30分直前に社会保険事務所に滑り込んだわけですよ。
ところでどうして社会保険事務所に行く必要があるかというと、「法人は社会保険(厚生年金保険・健康保険・介護保険)の強制適用事業所にあたるから、設立後5日以内に新規適用手続きをしなくてはならなくて、社長といえども厚生年金と健康保険の加入は義務なんですよ」とこの本に書いてあったから。設立後5日以内ってもう過ぎてますけどね。
でもドリームゲートの Q&A とか見ると「経営者は国民健康保険と国民年金に加入してればよいのだよ」というようなことが書いてあって、あれれ、どっちが正しいの? と悩んでしまいました。
それで社会保険事務所に電話したところ、やっぱり「法律上加入が義務付けられているから手続きしに来なさい」と云われまして、で、行ったけど書類だけ渡されて、「受付は火曜木曜の朝だけよ」と帰されたのが昨日までの話。
で今朝また、書類まとめて行ってきたわけですよ。
奥の机に通されまして、担当者に書類一式渡してひとつひとつチェックしてもらってたのですが、
「お給料、5万円ですか…」
そうですよ。
「社会保険料差し引いたら4万切っちゃいますよね…」
ええまあ、そうですけど。
というのは厚生年金なら給料の5万円から直接 13.934%(事業所の折半分を引いたら6.967%) の保険料が計算されるんじゃなくて、給与額をいったん標準報酬というモデル金額に当てはめて、標準報酬に対して 13.934%(6.967%) が計算されるんですが、一番低い標準報酬は 98,000 円なので、たとえ給料は5万円でも保険料は 98,000 x 6.967% = 6827.66 円が差し引かれてしまい、同様に健康保険料も 98,000 x 4.1% = 4,018 円、合わせると1万円を超えてしまうというわけです(保険料額表はこちら)。
「失礼ですが4万じゃ生活できないでしょう」
あんたそりゃそうですよ。貯金崩すしかないじゃん。
でその後もごにょごにょとよくわからんことをその担当者は言うんです。それで「給料5万円のどの辺に問題があるんでしょうか」と穏やかに訊いてみましたところ、
「社会通念」
などとぬかしやがる。
……
で最終的にですね、その担当者が正直に教えてくれたところによるとですね、つまりかいつまんでいうと、「社会保険の加入義務付けってのは建前の話で、まあ立場上こう言っちゃまずいんだけど、加入しなくてもウチは罰則適用とかしてないし、設立5日以内に届出しなさいってのもあんまり気にしなくていいんだよ」と、そういうこと。なるほど、建前か。大人ルールってやつだね。
確かに5万の給料から1万も取られちゃかなわんし、その大人ルール、頂戴します。
でまあ、そんなこんなで、会社が軌道に乗った頃にまた来ますわ、と言い残して社会保険事務所を退散しました。
しかしただでさえ複雑なルールに大人ルールまであるなんて、分かりにくいったらありゃしないね。
