ベンチャーキャピタルの本

ちょっとした興味でベンチャーキャピタルについてこのところ調べてます。図書館にある本をまとめて借りてきて半分くらい読んだところ。

ベンチャーキャピタルからの資金調達術 VCがお金を出したくなるビジネスプランのつくり方ベンチャーキャピタルからの資金調達術

2006年2月初版発行。著者はベンチャー企業の CFO として VC から投資を受けた経験とベンチャーキャピタルの一員として企業に投資した経験の両方を備えていて、両方の生々しい本音を土台に書かれているのがいろいろ実用的でよかったです。

デューデリジェンスの結果、会社の資金繰りが悪いことが判明すると、ベンチャーキャピタルによっては、投資契約書の締結時期を遅らせて、投資先企業が資金繰り悪化に耐えかねて音を上げるのを待つようなケースがあります。

あるベンチャー企業の場合、ベンチャーキャピタルの出資を仰いでいたのですが、資金繰りが悪いことを見透かされて、投資契約締結をずるずると延ばされました。結果として、ベンチャーキャピタルの要求を大幅に飲まされた投資契約を締結させられました。ベンチャーキャピタルとの交渉期間は数カ月に及ぶのが一般的です。ベンチャーキャピタルの“兵糧攻め”に屈しないためにも、早めの交渉着手が望ましいでしょう。

おっかなくて夢に出てきそうですよ。

さて、この本によると投資を受けたい企業の方から VC に直接売り込んでも、相手にネガティブな先入観を与えるだけだからやめとけと、つきあいのある会計士とか金融機関とかのコネを頼れと、そういうことらしいんですが、

つぎの本は数々の VC にみずからメールを送りまくった社長さんの話。

くたばれ!日本のベンチャーキャピタル―わがむなしき格闘の日々くたばれ!日本のベンチャーキャピタル

2000年7月の第1版発行だから IT バブルがはじける前あたりの頃のことが書かれています。著者は大手広告代理店を40過ぎでやめて PR 会社を起業したひとで、その人が新プロジェクトの資金を求めて4ヶ月で10社以上の VC と折衝した経験をつづっています。

有望な(少なくとも自分目には)事業プランはあるがそれを立ち上げるための資金はない。銀行のような金融機関はまだ立ち上がってもない事業への融資なんて本気で取り合わないからあてにはならない。だからリスク事業に投資するという VC を頼ったのに、VC の社員ときたらサラリーマン体質で無責任でリスクとれねえわ、機密保持契約あるのにペラペラしゃべるわ、投資先企業をマネーゲームのネタとしか見てねえわ、本当にろくなことしねえ、という、ようするに泣き言恨み言なんですけど、一方的にまたときに感情的にまくしたてるというアグレッシブな内容です。

たぶん普通のひとが読んだら「頭冷やせよ」ってあきれて思うような内容なんだけど、僕は立場がら気持ちが非常によくわかって面白かったな。「みにつまされる」というやつか。

それで、この社長があんまりボロクソにいうもんだから、「いくらなんでもそこまでひどくはないんじゃないの」と、むしろ VC にたいして同情的になってしまったのですが、つぎの本を読んでまたちょっと微妙な気持ちに。

日本のベンチャーキャピタル―未来への戦略投資 日本のベンチャーキャピタル―未来への戦略投資

これは1996年に1版が出ているだいぶ古い本なんですが、北大の経済学の先生が書いた学問的な内容です。戦後日本の中小企業政策と、そこからどのようにして日本のベンチャーキャピタルが生まれてきたのか、それがどのような経緯をたどって将来はどうなるのか、そういったことが書かれています。

驚いたんですが、日本の現存最古で代表格のジャフコをはじめ、多くの VC が当初、投資よりも融資をメインでやっていたと、つまり株主として資本参加する本来の形ではなく、貸金業が中心だったというんです。日本では VC とはノンバンクのことだった。同じ VC でもアメリカのそれとはまったく別物だったわけですね。

実はそうならざるを得ない事情があったようで、当初の VC の多くが証券や銀行の子会社で、いってみれば他人から借りた金を運用してそれで毎年毎年利益を上げることが求められる。その一方でベンチャー投資は回収まで5年も10年もかかってさらにリスクも高く、果実を得るまで収益ゼロというのではまずいのでその間貸金業で日銭をかせぐしかなかった、と、そういうことらしい。

もちろんその後は徐々に投資の割合が増えていきますが、リスクテイクに消極的な体質はそのまま残され、日本の VC は欧米のそれと比べてスタートアップ投資の比率が低すぎるといいます。

日本の VCC について言えるもうひとつの問題点。それは、初期投資が少ないということである。VCC の全投資に占める創業五年未満での投資を主要三カ国について見ると、アメリカ 37%、イギリス 23%、日本 16% である。さらに、創業時、あるいは創業直後に限って見ると、日本はほとんどゼロ、イギリス 10%、アメリカ 30% となる。

この本が出てから10年たっているので、このへんも多少は変わっているのだと思いますが、でもスタートアップ企業に投資したなんて話、日本で聞いたことないよなー。TechCrunch とかみてると、なんでこんなに違うのだろうかと、ときどき切なくなってしまいます。

日本でも自己資金を運用してリスクをとれるエンジェル投資家や VC の層がもっと厚くなったほうがよいと書かれていますが、僕もそう願います。団塊の世代は起業よりもベンチャー投資にまわってもらえるとありがたいんですが。

続編へつづく(たぶん)。

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