どう考えてもこれで終わりだ、そうミスター・ボーンズは思った。いま口にした言葉だって、いかにもおしまいって響きだったじゃないか? こっちの脳天をずっとマッサージしてくれていた手がいきなりずるっと離れて、力なく地面に落ちたのだ、逝ってしまったと考えるしかないじゃないか? ミスター・ボーンズは顔を上げる勇気が出なかった。頭をウィリーの右太腿にくっつけたまま、もしかしたら勘違いかも、とはかない望みを抱いて、待った。
家なき詩人ウィリーとその忠実な従者にして最良の友である老いぼれ犬ミスター・ボーンズの物語。ミスター・ボーンズはウィリーの死が間近に来ていることを知っています。仔犬の頃からいつもそばにいた主人の死は犬にとって世界の終わりも同じだとミスター・ボーンズは思います。ウィリーはミスター・ボーンズをみなしごにしてしまうことを深く後悔しています。
後半、ウィリーの死後の話はちょっと肩すかしな感じもしますが、前半のふたりの情感の描写はたまらなく切なく、印象深いものでした。今年読んだ小説のなかでは一番好きな作品です。
ティンブクトゥ